スギ花粉症に悩まされている方に朗報です
舌下免疫療法とは
アレルギーを引き起こす原因となる物質のスギのエキスを少しずつ経口にて体内に入れて、徐々に増やすことにより、体をアレルギーの原因物質に慣れさせる治療法です。
治療は滅感作療法と同様に、最低でも2、3年かけて体質の改善を図る必要性があります。
治療法としては毎日花粉症エキスを口に含みます。
尚、花粉症エキスは低濃度のエキスを少量から投与し、少しずつ増量、高濃度に移行します。
そして、その治療法2~3年間継続することで治療します。
舌下免疫療法による効果
- くしゃみ、鼻水、鼻づまりの改善
- 涙目、目のかゆみの改善
- アレルギー治療薬の減量
- QOL(生活の質)の改善
舌下免疫療法を受ける前に
舌下免疫療法はこのような患者様におすすめです。
- スギ花粉の症状を軽減したい、もしくは完全に治したいとお考えになられている方
- 飲み薬や点鼻薬を使用しても、症状の軽減を感じない方
- 飲み薬や点鼻薬を使用しても、眠気などの副作用がひどい方
- 長期にわたる治癒を望んでいる方
「是非、舌下免疫治療法をしてみたい!」と考えている方に必ず知っていただきたいこと
まず、大前提として、スギ花粉の治療法であるため、その他のアレルギーでは効果が期待できない可能性が高いことです。
ヒノキ・カモガヤ・イネ・ハウスダストなどその他のアレルギー物質では効果は強く望むことができません。また、複数のアレルギーを持つ方やアレルギー症状が重篤な方に対しても効果に限りがあります。
以下のいずれかが当てはまる方は治療を受けることができません。
- 5歳未満の小児の方
- 重度の気管支喘息を患っている方
- 悪性腫瘍(がん)や、免疫系の病気がある方
以下のいずれかがあてはまる方は治療に際して注意が必要です。
- アレルゲンを使った治療や検査、またはスギ花粉を含んだ食べ物によってアレルギー症状を起こしたことがある方
- 気管支喘息の方
- 高齢の方
- 妊婦の方、授乳中の方
- 抜歯や口の中の術後、または口の中に傷や炎症などがある方
- 重症の心疾患、肺疾患及び高血圧がある方
- 他に服用中のお薬がある方(非選択的β遮断薬、三環系抗うつ薬 etc)
- 全身性ステロイド薬の投与を受けている方
- スギ花粉以外のアレルゲンに対しても反応性が高い方
※上記に該当する方は診察時に必ず医師にその旨をお伝え下さい。最低でも2年以上は治療を継続して下さい。
舌下免疫療法により、全ての患者様が完全に治るわけではありません。
最低でも2年以上の治療を継続していただいたにも関わらず、残念ながら、治療を受けていただいた方の3割の方には効果が見られません。長期にわたる治療効果を望んだ上で、薬を減らす治療・症状を軽くする治療と捉えていただいた方のみに推奨しております。
副作用がある治療法であることをご理解ください。
注射による減感作療法のようにアナフィラキシーショックのような重篤な副作用の報告は未だありませんが、患者様によっては重篤な副作用が起こる可能性は否定できません。現状で確認されている副作用としては下記のようなものが挙げられます。
- 腹痛・嘔吐・下痢
- 口腔内もしくは唇のかゆみ・浮腫・感覚異常
- 蕁麻疹
- 目や耳のかゆみ
- 喉の炎症や違和感
- くしゃみ・鼻水・鼻づまり
- 咳
但し、以下のような重篤な副作用がみられた場合は、直ちに救急車を要請するなど、迅速な対応をしてください。
- 突然のショック症状(蒼白、意識の混濁etc)
- 激しい腹痛や嘔吐などの消化器症状
- 息苦しさなどの呼吸器症状
- 蕁麻疹などの皮膚症状
院長からのメッセージ
舌下免疫療法はスギ花粉症を体に慣れさせることで花粉症の症状を発症させなくする、もしくは発症しにくくする治療法です。注射をしなくていいこと、ご自宅でできることが画期的です。舌下免疫療法にご関心がある方の大多数は「スギ花粉症が治る治療法!」という認識です。この治療法は花粉症が完治する場合もありますが、約3割の方は全く改善されないデータがでています。また、現時点での報告は少ないのですが重篤な副作用がある治療法であることを認識していただかなければなりません。
これらの舌下免疫療法の背景をご理解いただいた上で「スギ花粉症を克服するために舌下免疫療法を受けてみたい!」とお思いになられた方に一つのお願いがあります。
それは、ご自身が長期間、辛抱強く「治療を続ける覚悟」を持って頂きたいということです。
治療を続けるためのワンポイントアドバイス
- 毎日薬を服用するためのタイミングを決める(朝、歯を磨くときなど)
- 1ヶ月に1回通院するための曜日を決める(第2土曜日など)
歯磨きと一緒です。習慣にすると、違和感なく、なおかつ、無理することなく治療を続けることができます。「治らない可能性があっても、今の花粉症は本当に辛い。そのためなら辛い花粉症の症状から解放される可能性がある舌下免疫療法をやってみる!」と思われる方は診察時にご相談下さい。
当院では、6月より治療を順次開始致します。
舌下免疫療法の具体的な治療法
◆開始時期 6月~11月の間にスタート(12月~5月は開始できません)
◆毎日投与 スギ花粉が飛んでない期間も毎日投与
◆継続期間 最低でも2年以上(通常3~5年)
初めての投与
初回はクリニックでします。投与した後は30分間、待合室で経過をみます。
初めて投与する日は少しお時間がかかります(約1時間30分)ので、午前は11時まで。
午後は17時までにお越し下さい。
スギの舌下錠の服用手順
スギの舌下錠を舌の下に置いて1分間保持した後、飲み込む。
毎日服用し3~5年後、スギ花粉の症状が発生しにくくなる。発症させなくする。
5才以上から受けられます。
スギ花粉が飛んでいない時期(当院では6月よりスタートします)に、医師の監督のもとに服用(第1回目の時)
- 最初の1週間は2,000JAU錠1日1回
- 2週目以降は 5,000JAU錠1日1回
この治療法は、花粉症がほぼ完治する場合もありますが、全ての方に有効というわけではありません。
又、現時点での報告は大変少ないのですが、重い副作用が出現する可能性のある治療法であることも認識していただかないとなりません。
治療費の目安
受診回数 | 金 額 |
---|---|
初回投与時 | 約2,000円 |
2回目受診 | 約3,000円 |
舌下免疫療法 Q&A
Q1:何月から始められますか?
当院では6月~11月と致します
Q2:通院の頻度は?
毎月1回です
Q3:どの位通院すればいいですか?
最低2年間です(3~5年が推奨されています)
Q4:レーザーと併用できますか?
もちろん可能です
Q5:スギの時期だけ舌下免疫療法受けることできますか?
シーズン中に治療開始すると、副作用がでやすくなります
Q6:舌下免疫療法中に、抗アレルギー剤を飲んでいいですか?
かまいませんが、ステロイドに対しては、内服より外用(ステロイド点鼻)をお勧めします
Q7:薬は常温ですが冷所保存ですか?
常温です
Q8:口内炎や口の中の傷に対しては、治療を続けてもいいですか?
傷口から薬の吸収率が上がる為、一時的な中断となります
Q9:スギ以外にもアレルギーがありますが?
スギの舌下錠の保険適応は、スギのみであり、複数のアレルギーをお持ちの方でも効果はスギのみです
Q10:年齢制限は?
5才~65才までとさせていただきます
Q11:妊娠中、授乳中は大丈夫ですか?
お勧めできません
Q12:飲み忘れた場合は?
週に1~2回位ならいいですが、次の日にのみ忘れた分も一緒に内服しないで下さい
Q13:しばらくやめていて、再開したいのですが?
又、最初の少ない量からのやり直しになります
Q14:以前、スギと診断されたのですが?
その時の検査結果を持参していただければ、治療開始となります
ダニアレルギーにお悩みの方は
こちらの治療も5歳以上から受けられます。
ダニの舌下錠を舌の下に置いて1分間保持した後、飲み込む。
毎日服用し3~4年後、ダニアレルギーの症状が発生しにくくなる。発症させなくする。
スギやイネなどの抗原のある方は、その飛散時期は治療を避ける必要があります。
特に抗原のない方は1年中いつからでも可能です。
- 最初の1週間は3,300 JAV 1日1回
- 2週目以降は 10,000 JAV 1日1回
この治療法は、ダニアレルギーがほぼ完治する場合もありますが、全ての方に有効というわけではありません。
又、現時点での報告は大変少ないのですが、重い副作用が出現する可能性のある治療法であることも認識していただかないとなりません。
ご注意
1回目の診療は1時間以上かかる為、舌下免疫療法をご希望の方は、午前は11時まで、午後は17時までに受診してください。
ダニアレルギー療法 Q&A
Q15:ダニの舌下免疫療法はいつ始めてもいいですか?
花粉飛沫期はさけて下さい
Q16:ダニの舌下錠は気管支喘息に効果ありますか?
ダニの舌下錠は、気管支喘息の保険適応はありませんが、ダニアレルギーと気管支喘息を合併している方には効果があると思います