花粉症の注射の種類を知って自分に合った治療を!
花粉症の注射には、以下のようなものがあります
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ゾレア(オマリズマブ)皮下注射
- ノイロトロピン注射
- ヒスタグロビン注射
花粉症の治療法のうち注射で投与するものは多くありません。花粉症そのものを治したいのか、いまあるつらい症状を軽減したいのかによって、選択すべき治療は異なります。
それぞれの治療法のメリットとデメリットを医師から聞いたうえで、内服薬やレーザー治療も選択肢に入れ、あなたに合った治療法を見つけてください。
ゾレア(オマリズマブ)皮下注射-世界初の抗体医薬
重症スギ花粉症に対しての抗体治療法。スギ花粉そのものの原因のところに直結し、体内でおこるアレルギー反応を元からなくす薬。
重症、最重症のスギ花粉症に限定した治療で、接種するにあたって事前に問診、検査、診療が必要となります。
作用機序
効能・効果
- 季節性アレルギー性鼻炎
1回の接種で2~4週間持続。
接種条件
- 12歳以上で体重が20~150kgであること
- 重症な花粉症の方(くしゃみ発作が1日に11~20回で鼻閉が非常につよい方)であること。または、最重症な花粉症の方(くしゃみ発作が1日に21回以上で1日中完全に鼻のつまっている方)であること。
- 血液検査でスギ花粉の結果が、陽性であること。(特異的IgE抗体がクラス3以上)
スケジュール
1回目・・・当院での治療開始(抗ヒスタミン剤、点鼻薬など)
2回目・・・効果不十分な方には、スギ特異的IgE抗体及び総IgE抗体値を調べます。
3回目・・・検査結果を確認して、ゾレアの投与量、投与間隔、自己負担額を決めます。
4回目・・・オマリズマブの投与(+抗ヒスタミン剤の処方)
接種期間
2月から5月まで。(初回の方は、1月から診察、検査して接種可能かを決めます)
治療費
保険適応で1回7,088円~。投与量によって金額が変わります。
注意すべき副作用
腫脹・紅斑・浮腫・鼻咽頭炎・血小板数減少・頭痛・傾眠・めまい・潮紅・消化不良など、このような症状に気づいたら、医師の診療を受けてください。
ノイロトロピン注射
ウサギの皮膚のエキスをもとに作った注射薬です。
鼻粘膜にあるアセチルコリン受容体が増えるのを抑えるのと、おおもとの好酸球にも働いて、作用を抑制することがわかっています。
週に1-2回の間隔で6回注射し、効果をみながら適宣クール追加を行います。
花粉症全体の患者さんの約6割の人に有効で、個々の症状をみても、5割の人に鼻づまりに効果があった結果があります。
効能・効果
- アレルギー性鼻炎
- 頚肩腕症候群
- 湿疹・皮膚炎のそう痒
- 症候性神経痛
- 蕁麻疹のそう痒
- 皮膚疾患のそう痒
- 腰痛症
生体内に備わっている痛みを抑える神経の働きを高める作用に加えて、末梢の血流改善作用や痛みや炎症に関与するブラジキニンの遊離抑制作用により痛みを和らげます。また、局所への好酸球の浸潤を抑えることによりアレルギー症状を改善します。
注意すべき副作用
そう痒・発疹・眠気・ほてり・ショック・アナフィラキシー様症状・脈拍異常・胸痛・呼吸困難・血圧低下などが報告されています。このような症状に気づいたら、医師の診療を受けてください。
ヒスタグロビン皮下注射
ヒスタグロビンは、体内でアレルギー反応をおこすとされている、ヒスタミンへの抗体となり、アレルギー反応でヒスタミンが生じても、反応を抑えることができます。
ヒスタグロビンは、国内献血由来の血液を原料とする、特定生物由来製品(生物製剤)に分類されます。S42年国内で発売以来、一度も感染症を起こしたことのない製剤です。
週2回の6回で1クールとしています。(小児は週1回)十分な効果が得られないときは、又、1クールの注射をします。
一端、効果が現れて効果を維持する為には、3~4ヶ月に1回注射をします。
激しい喘息発作の方、妊娠又は妊娠の可能性のある方、月経中(直前)の方はできません。
ノイロトロピン注射と一緒に投与すると、相乗効果でさらに有効となります。
ヒスタグロビン注射おすすめ治療開始時期
効能・効果
- アトピー性皮膚炎
- アレルギー性鼻炎
- アレルギー性皮膚疾患
- 気管支喘息
- 血管運動性鼻炎
- 慢性湿疹
くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなど体内でアレルギー反応が起こってもヒスタミンに対する抵抗力をつける効果があります。ただし効果には個人差があり、治療した全ての方に同じ効果があるというわけではありません。
注意すべき副作用
眠気、めまい、頭痛、嘔吐といった副作用が稀に起こることがあります。このような症状に気づいたら、医師の診療を受けてください。
ヒスタグロビン注射を実施できない方
- 症状を悪化させる恐れがあるため、喘息の激しい発作がある方
- 体力の低下が激しく、衰弱している方
- 月経前、月経中の方
- 妊娠中の方
※当院はケナコルト注射(ステロイド)は、副作用の面から行っておりません。